こうご司法書士事務所ブログ 内縁の妻が財産を相続することはできるか?
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内縁の妻が財産を相続することはできるか?

 内縁の妻(婚姻届出を出していない事実上の夫婦)には相続権はあるでしょうか?


※話がそれてしまいますが、内縁関係から生まれた子どもで、認知されている子ども(嫡出でない子、非嫡出子)には相続権はありますので、今回の話の対象にはなりません。
 また、「内縁」という言葉が、このような場所で使うのに適切な言葉かどうか難しい所ではありますが、わかりやすくするために、敢えて内縁という言葉を使わせていただきます。

<内縁の妻に相続権はない>

 結論から言うと、内縁の妻に相続権はありません。

 内縁の夫が亡くなっても、内縁の妻は財産を相続することはできないのです。
 何もしなければ、内縁の夫の財産は、相続人がいれば相続人に相続されますし、相続人がいなければ国庫に帰属することになります(民法959条)。
 ちなみに、相続人がおらず、財産が共有の場合は、他の共有者に帰属することになります(民法255条)。

 例えば、何十年も会っていない戸籍上の妻がいるとか、兄弟がいるとかいう場合、内縁の妻の存在は無視された状態で、配偶者は常に相続人となり、子ども→直系尊属→兄弟姉妹の順番で相続人が決まっていくことになります。
 具体的な相続人の決まり方についいては、相続の順位と法定相続分をご覧ください。

 そして、そうした相続人が誰もいない場合でも、内縁の妻が相続人となることはなく、共有者に財産が渡ってしまったり、国庫に帰属したりすることになってしまうのです。

<内縁の妻に遺産を残すには?>

 では、何とか内縁の妻に財産(遺産)を残したいという場合はどうすればいいでしょうか?

 そういった場合、やはり、生前に財産を贈与しておくか遺言を残しておくのが一番です。
 遺言を残しておけば、内縁の妻に遺産を残すことが可能です。

 ただし、遺言にも限界があります。
 相続人には遺留分という固有の権利があるからです。
 遺留分についての詳細は遺留分をご覧ください。
 相続人から遺留分減殺請求を行使されてしまうと、行使された遺留分にあたる財産は減殺請求者に戻さなくてはならなくなります。
 生前贈与も遺留分減殺請求の対象となる可能性があります。
 
 また、遺言執行者がいない場合、相続人が遺言を執行することになるので、遺言を執行する段階で、遺言執行者=相続人の協力を得られない可能性があります。

 このように、相続人がいる場合には、遺言はその内容(被相続人の意思)が100%実現できるとは限らないものですが、仮に遺留分減殺請求をされたとしても、財産の何%かは確実に、受遺者である内縁の妻のもとに渡ることになります。
 また、推定相続人が兄弟姉妹の場合、兄弟姉妹には遺留分はありませんので、遺言がさらに意味を持ってくることになります。

 相続人がいない場合には、遺言内容をそのまま実現することができますので、遺言がさらに大きな意味を持ってきます。

 そういったわけで、ご家族で話し合いをし、死後への準備として、遺言を残しておくのが一番の方法と言えるでしょう。
 逆に、戸籍上の妻側としては、内縁の妻に財産を渡したくなければ、そういった遺言を残さないよう、夫と話し合いをしておくということになるでしょう。

<遺言がない場合は?>
 
 では、遺言を残さずに内縁の夫が亡くなってしまった場合どうなるでしょうか?

 相続人がいる場合、内縁の妻が内縁の夫の財産を手にする方法は法律上はないと言っていいでしょう。
 例えば、寄与分という制度がありますが、寄与分権利者になれるのは相続人であって、相続人でない人は寄与分権利者になることはできません。
 内縁の妻も相続人ではないので、相続財産の形成にどれだけ寄与があったとしても、寄与分権利者にはなれないので注意が必要です。

 相続以外の方法で、何とかすることは考えられなくはないかもしれませんが、少なくとも相続人がいる場合に、内縁の妻が相続や遺贈の形で財産を手にすることは厳しいと言わざるを得ません。


<遺言がなく、相続人がいない場合 特別縁故者>

 続いて、遺言もなく、相続人もいない場合です。

 この場合、相続人の不存在を確定させたうえで、特別縁故者への相続財産の分与の制度を利用することが可能です。

 相続人の不存在と特別縁故者への財産分与の制度については

相続人の不存在、特別縁故者への財産分与

を見ていただければと思います。

 特別縁故者への財産分与の制度を利用する場合の問題点は、家庭裁判所の審判の結果、特別縁故者と認められるとは限らないこと、相続人の不存在を確定させたうえで、財産分与請求を申し立てなくてはならないという時間のかかる手続きを踏む必要があることがあります。

 そういった意味でも、日ごろから話し合いをしておき、遺留分に配慮しつつ、生前に贈与をしておくか、遺言を残す方向で話を進めておくのがいいのかなと思います。

 なお、相続人不存在とは、物理的に相続人が存在しない場合だけでなく、相続放棄の結果相続人が存在しなくなった場合も含みます。
 従って、相続人がいる場合でも、相続人全員に相続放棄をしてもらい、相続人不存在→特別縁故者への財産分与手続という流れを利用するという方法はあります。

 しかし、相続人の協力が得られるかは微妙で、現実的にはなかなか厳しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。

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[ 2015/06/22 17:39 ] 相続 | TB(-) | CM(0)
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