こうご司法書士事務所ブログ 過払い金と取引の空白期間(その1)
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過払い金と取引の空白期間(その1)

 実務上過払い金の最大の論点といっても過言でないのが、取引の空白期間の問題です。

 過払い金返還の交渉や訴訟において善意・悪意、遅延損害金利率の適用などを主張してくる業者もいますが、訴訟上もっとも認められやすく、また業者にとって過払い金を減らす効果があるのが、取引に空白期間がある際、分断を主張することではないかと私は思います。

 取引の空白期間とはどういうことでしょうか?
 一言でいうと、、まさに文字通り、取引(つまり貸し借り)をしていない期間のことです。
 消費者金融のキャッシングでは、通常お金を借りられる枠を決めて、その枠内で貸したり返したりを繰り返すということになるかと思います。
 貸し借りを繰り返す中で、残高がゼロになる(完済する)ことも珍しくないかと思います。

 この残高がゼロになった期間が取引の空白期間ということになります。
 

 取引の空白期間の問題(取引の分断の問題)を考える時の大前提として、基本的に、ありとあらゆる取引(貸し借り)を一つの取引とみなして引き直し計算をするほうが過払い金が多くなるということがあります。
 逆に言うと、できるだけ取引(貸し借り)を複数に分けて、別取引として引き直し計算をするほうが過払い金は少なくなります。

 取引の空白期間があったとして、それがなぜ過払い金の計算に影響してくるのかというのは当然だと思います。
 空白期間があったとしても、借りられる状態は継続しており、契約も継続しているでしょうから。
 空白期間が短い場合、そもそも空白期間があるということさえ認識していないのではないかと思います。

 空白期間がある場合に、それが過払い金の計算にどう影響してくるのでしょうか?

 空白期間がある場合、業者側は次のように主張してくる可能性があります。
 取引が分断しており、分断の前後では別取引である。
 別の取引なので、引き直し計算(過払い金の計算)は別々にするべきである。


 最初に前提として、できるだけ取引(貸し借り)を複数に分けて、別取引として引き直し計算をするほうが過払い金は少なくなると書きました。
 取引に空白期間があるとき、その空白期間の前後を別取引とみなして、別々に引き直し計算をすることができれば、基本的には、過払い金の額を減らすことができます。

 取引に空白期間がある場合に、業者側が、取引の分断を主張してくる理由はまさにここにあります。
 それに対して、我々は、空白期間があったとしても、一連の取引であるとして、一つの取引として、引き直し計算をします。
 このようにして、取引の空白期間がある場合、取引に分断があり別取引とみなされるか、それとも一連の取引なのかどうかという形で争点になってくるわけです。


 一連の取引として過払い金の計算をした場合と、分断があるとして別取引として過払い金の計算をした場合でもほとんど計算に違いがない場合もあります。
 もっとも劇的に過払い金の額が変わってくる典型例が時効が絡む場合です。

 例えば、このような例を考えてみます(わかりやすくするための設例で、実際にこのようなことがあるかは別問題ですのでご了承ください)。
 昭和の時代からの長い取引で、限度額は100万円。
 限度額の範囲内で貸し借りを繰り返していたが、平成16年6月にいったん残高がゼロになった(完済した)。
 平成17年7月に同じカードを使ってまた借りたが、これ以降は年利18%の利息制限法所定の利息で借りた。
 平成27年4月に残高がゼロになった。

 この場合、一連の取引として引き直し計算をすれば、昭和の時代からの30年くらいの取引で借りた額もそれなりの額なので、かなりの過払い金が期待できそうです。
 これだけ期間が長いと、場合によっては数百万円の単位で過払い金が算出されるかもしれません(契約内容や取引の内容によってかなり変わってくるので一概には言えませんが)。

 一方、約1年1ヶ月の取引の空白期間の前後の取引が別取引とみなされ、別個の取引として過払い金の計算をした場合どうなるでしょうか?
 契約開始時から平成16年6月までを第一取引、平成17年7月から平成27年4月までを第二取引とします。

 第一取引では引き直し計算上、かなりの過払い金が算出されることが期待されます。
 しかし、最後の返済から10年以上経っているので、一般的には時効ということになります(そうでない考え方もあります)。
 第一取引で発生した過払い金が時効になっているとすると、請求できる過払い金はゼロということになってしまいます。

 第二取引はどうでしょうか?
 第二取引は全て法定の利息の範囲内の取引です。
 第二取引について引き直し計算をしても、過払い金はゼロということになります。

 つまり、設例において、取引の空白期間について分断とみなされ、別取引とされてしまうと、全ての取引を通じての過払い金はゼロということになってしまいます。

 このように時効が絡むと、取引に空白期間がある場合に、一連の取引として引き直し計算をする場合と、分断があるとして別取引として引き直し計算をする場合で、過払い金の額が数百万円も変わってくるということがあり得るので、注意が必要です。

 
 冒頭で、取引の空白期間(取引の分断)の問題は、過払い金返還請求において、最大の論点といっても過言でないと書きましたが、業者が善意・悪意や遅延損害金利率で過払い金を計算すべきであるということを主張してこないことはあり得ても、取引の分断を主張してこないことはあまりないと思います。

 勿論、業者によって、空白期間がどれくらいの場合から分断の主張をするかには差があるでしょうが、一定以上の長い空白期間がある場合に、分断を主張してこない業者はほとんどいないのではないでしょうか?

 また、半年とか、場合によっては数か月空白期間があるに過ぎない場合でも分断を主張してくることがあります。

 これは、取引の空白期間の問題が、業者側にとって比較的認められやすい論点であると、業者側が考えているからかもしれません。

 長くなってしまうので、取引の空白期間について判例がどのように判旨しているのか等については、また後日書けたらと思います。 
 
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[ 2015/05/31 16:10 ] 過払い金 | TB(-) | CM(0)
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