こうご司法書士事務所ブログ 成年後見とインフルエンザワクチンについて-「接種を希望しない方へのい不承諾書返送のお願い」
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成年後見とインフルエンザワクチンについて-「接種を希望しない方へのい不承諾書返送のお願い」

 調布市西つつじヶ丘(京王線つつじヶ丘駅徒歩2分)のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 
 私が主に行なっている仕事の代表的なものの一つに、成年後見があります。
 この成年後見は、自力でお金の管理ができなかったり、手伝ってくれる親族が身近にいない方々の財産管理や身上監護を行なう仕事になります。

 この成年後見では、「医療同意」ということが問題になる場面が出てきます。
 手術の同意や延命の同意などのことですが、建前上は、後見人には医療同意権(同意する義務)はないとされていますが、現場では、医療同意を求められることが少なくないので、その狭間で、後見人が悩まされるという事態が生じているのです。

 医療同意については、考えれば考えるほど難しく、究極的には、本人になされた、インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)がなされない限り、たとえ家族の同意であっても、その同意に意味があるのかという問題に行き着くと思うのです。
 また、医療同意といっても、命に関わる医療行為についての同意と、命には関わらない骨折を治す手術等への同意、副反応の可能性はあるものの手術等に比べれば遙かにリスクの低いワクチン接種への同意など、様々なものがあり、これらの違いを無視して、一律に考えるのがよいのかという問題もあります。

 ここでは、そうした問題には深入りせず、インフルエンザワクチン接種への同意について考えてみたいと思います。

 被後見人が老人ホーム(特養・有料老人ホームなど)に入所していると、ほぼ確実に、年に一回ほど、インフルエンザワクチン接種への同意を求める書面が届きます。

 ここで、後見人が取りうる選択肢は、主に、以下の三つだと思います。

 一つ目は、同意(承諾)をする書面にサインをして送るということです。

 二つ目のやり方として、医師の判断に委ねます(医師が接種してよいと判断すれば、後見人が反対する事はしませんという主旨)と記載して返信することです。

 三つ目は、後見人には医療同意権はないから、この種の書面は出さないと説明することです。

 現在は、後見人には医療同意権はないということが浸透してきているので、同意を求める書面が送られてこないケースも増えてきました。
 逆に言うと、施設から書面が送られてきた場合、その施設が、後見人には医療同意権はないということを理解していないか、知っているが、その施設の運用上、家族等の同意がないと接種できないから、後見人の同意がどうしても必要だということだと思うのです。

 施設側の事情としては、集団生活している以上、全員にワクチンを受けさせる必要性が非常に高いと言えるでしょう。
 にもかかわらず、家族や後見人の同意がなければワクチンを接種できないとしたら、施設として、それでいいのでしょうか。

 私見ですが、後見人には医療同意権はない以上、後見人がワクチン接種に同意しないからといって、それを理由に入居者である被後見人の対処を求めることはできないはずです。
 とするならば、後見人にワクチン接種の同意を求めるということは、結果として、施設側は、ワクチン接種をしていない入居者を一定程度抱えるリスクを負うことになってしまうでしょう。

 インフルエンザワクチンを接種しない入居者がいると、施設側は、集団感染のリスクを負ってしまうでしょう。
 施設側の事情として、入居者の全員もしくはできるだけ多数にワクチンを接種してもらいたいと考えるのは、当然だと思います。

 そうだとするなら、一定の条件のもと、後見人が反対等しない限り、ワクチンを接種してもよいという扱いがなされるべきだし、一定の要件を充せば、仮に副反応等があっても、施設側は免責されるべきではないかと思います。
 例えば、施設側の日々の観察や体調管理で特に問題がなかったこと、医師の事前診察で問題掛かったこと、これまでアレルギー等の反応が見られなかったこと等の要件を充せば、万一、何かあったときでも、施設側は免責されるべきだと思うのです。

 また、そもそも、では、上記のような要件を充した場面においても、施設側が免責されないとしたら、仮に後見人の同意があったとしても、施設側が免責されるとはないのではないでしょうか。

 以上のようなことから、施設側は、後見人から明確な反対の意思表示がない限り、医師の事前診察に基づく判断に従って、自らの責任でワクチン接種を行なえばよいと思うのです。

 先日、ある施設から、「接種を希望しない方へのい不承諾書返送のお願い」が届きました。
 承諾書を出すというやり方ではなく、承諾しない場合のみ、不承諾書を出すというものです。

 今回書いたような私の考えからすると、「接種を希望しない方へのい不承諾書返送のお願い」という方法は非常に優れた方法であると思うのです。

 このようなやり方が、もっと定着するといいなと思い、今回このブログで紹介してみました。
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[ 2022/10/21 10:33 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)
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