こうご司法書士事務所ブログ 親族後見人の選任割合を増やせば、成年後見制度の利用促進が図れるのか?
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親族後見人の選任割合を増やせば、成年後見制度の利用促進が図れるのか?

 東京都調布市深大寺北町のこうご司法書士事務所です。
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 このブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、成年後見制度について、司法書士の向後が思うところや考えを書き記しています。
 今回は、親族後見人の選任割合を増やせば、成年後見制度の利用促進が図れるのか?という内容について書いてみたいと思います。

 今年に入ってから何回かマスコミで、「親族後見人の選任割合が少ないから、後見制度の利用件数が抑制されているのである」という趣旨の記事が報道されました。
 本当にそうなのか、疑問を感じざるをえません。

 後見の相談を受ける際、親族を後見人等の候補者としても必ず選ばれるとは限らないこと、親族が後見人になったとしても、流動資産(預金や有価証券)の額次第では、監督人がついたり、後見制度支援信託や支援預金の利用を求められたりする、ということをお話しすると、後見制度の利用をためらう傾向にあることは実感しています。

 しかし、例えば、そうした理由で、後見制度を利用しないというような場合、そもそも後見制度を利用する必要があったのかを考える必要があると思います。
 どうしても後見制度を利用する必要があったのなら、いかなる理由があろうとも、不満を抱きながらも、後見制度を利用せざるを得なかったはずです。

 結果として後見制度を利用しなかったということは、利用する必要はなかったか、利用すると便利ではあったが利用しなくても何とかなったか、利用する必要はあったが利用しなくても何とかなったか、そういったことでないでしょうか。

 親族を後見人等の候補者としても必ず選ばれるとは限らないことについては、積極的に反対する家族がいない場合には、候補者となった親族がそのまま選ばれるという運用があっていいように思います。
 実際、親族間に意見の不一致があるとか、財産管理が複雑であるという事情がなければ、以前に比べて、親族が後見人になる確率は増えていると思います。
 
 一方、親族が後見人になったとしても、流動資産(預金や有価証券)の額次第では、監督人がついたり、後見制度支援信託や支援預金の利用を求められたりする、ということについては、実際問題として、親族による被後見人の資産の流用が少なくない以上、その運用自体をやめることはすべきでないと思います。
 ただ、例えば、監督人や信託等の利用を求められる流動資産の下限を下げる等の対処はあってよいのではないでしょうか。例えば、500万円以下としているものを1000万円以下にするとか。
 あるいは、現在、専門職が行っている支援信託や支援預金の契約を親族後見人が行えるようにするとか。

 そうしたことをすれば、多少は後見制度の利用は増えることでしょう。

 しかし、「肉親の財産を管理していることについて裁判所の監督を受けることは納得できない」とか、これまで家族の財産を分けていなかったのに被後見人の資産を家族の資産からわけることには納得できないというような、より根本的な疑問が解消されない限り、後見制度の利用が劇的に増えることはないのではないでしょうか。
 
 とはいえ、裁判所の監督を受ける必要がないとか、被後見人の資産を家族の資産と分ける必要はない、などというような運用ができるはずはありません。

 こうした根本的な問題がある以上、「親族後見人の選任割合が少ないから、後見制度の利用件数が抑制されているのである」という意見はある意味間違っており、親族後見人の選任割合を増やしても、後見制度の利用が劇的に増えることはないと思うのです。

 ここで重要なのは、そもそも、後見制度の利用を促進する必要があるのかという視点だと思います。
 
 今回指摘したような根本的な問題があり、その解消が困難である以上、後見制度の利用ありきで考えるべきではないと思います。

 後見制度が、一部の人にとって利用しづらいから、利用しやすくするというのはとても大切な視点だと思います。
 しかし、親族の選任割合が少ないとか、監督、支援信託の問題については、利用しやすくするというっても限界があるように思います。

 それよりも、後見制度を利用しなくても、家族が一定程度の財産管理ができるように、諸制度を改善していく方がよいのではないかと思います。

 そもそも、後見制度は家族がいないような場合には、極めて有用な制度です。家族がいない方々にとっては、後見制度がなければ、老人ホームに入ること一つとっても至難の技です。
 一方、家族がいれば、通常、わざわざ後見人を選任しなくても、家族が代わりに入所契約を進められるはずです。

 家族が代わりにできることを、ご本人にマイナスがない範囲で増やしていけば、家族がいる場合に、後見制度を利用する必要性は、今よりもさらに減退するはずです。

 従って、私は、「親族後見人の選任割合が少ないから、後見制度の利用件数が抑制されているのである」という問題については、できる範囲で改善はすべきだが、それには限界があり、違うアプローチ(後見制度の利用を促進しようというのではなく、後見制度を利用しなくても、親族が代わりに財産管理や身上監護ができる制度を模索する)が必要なのではないかと思うのです。

 後見制度は、非常に有用な制度であり、これをなくすべきではありません。
 しかし、同時に、家族がいる人たちは、それを利用しなくてもいいような体制づくりも大切だと思うのです。

 それが結果的に、本当に後見制度が必要な人たちの権利を護ることにもなると思うのです。
 

 
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[ 2019/10/10 12:17 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)
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