こうご司法書士事務所ブログ 2019年08月
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成年後見監督人が就くのは嫌ですか?(その②)

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 こうご司法書士事務所では、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 こうご事務所のブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、司法書士の向後が、成年後見制度について、思うところや考えを書き記しています。
 今、成年後見制度が大きく変わろうとしており、成年後見に関わる専門職として、現場から考えた声を発信すべきではないかと考えたからです。

 前回から、成年後見等(保佐や補助含む)の監督人について書いていますが、今回はその二回目です。。
 「その①」には、今回の前提として、監督人とは何かということを書いてみました。監督人に就いてご存知の方は、「その①」は読まなくてもいいかなと思います。

 さて、前回の最後に触れたように、今回は、、「相談相手としての監督人」という観点から、親族後見人にとっての監督人の必要性を考えていきたいと思います。

 当然のことながら、親族後見人にとって、後見業務(後見人としての活動)は初めてのことだと思います。
 一方、我々専門職は、一見似たようですが、実際には人それぞれ、多種多様な問題を抱えている後見業務を、延件数でいうと数十件は行っています。
 また、研修を受けたり、書籍を読んだり、専門職同士議論を交わしたりと、日々研鑽を積んでいます。

 そこには、当然、経験や知識の差が生じますし、何よりも、親族と第三者である専門職には倫理観の差が生じざるを得ません。
 専門職は、倫理について人一倍敏感であるうえ、倫理についても常に学びの対象としていますし、家族や親族が第三者である専門職よりも倫理観が薄いのはある意味当然だと思います。
 親族が後見人になる場合、後見人であると同時に家族でもあり、家族である以上、第三者が業務として行う場合に比べて、倫理観が薄まってしまうのは、むしろ当然であると思います。

 このように、親族後見人には、経験や知識の不足や、倫理観が比較的薄いことから、無意識のうちに、裁判所が期待する役割とは反するような行動をしてしまうことがあります。
 無意識に行っているものであるため、裁判所から指摘を受けることだけで苦痛を感じたりストレスになる面もありますし、場合によっては、調査人による調査がなされたり、監督人が就いてしまうこともあります。

 後見等が開始すると、基本的に、被後見人の財産は、後見人はもちろん、他の家族の資産からも切り離され、分別して管理されることになり、被後見人の資産や収支は、裁判所への報告の対象となります。
 しかし、これまで家族として、収支を分けたり財産を分けたりすることなく生活してきたのに、突然、収支や財産を分けるといっても、なかなか難しいものがあります。特に夫婦のような場合、むしろ、収支や財産を分けていることのほうがまれで、夫婦の財産や収支と認識して、生活しているのが一般的だと思います。

 少なからぬ場合、そのような家族としては当然の認識を持ったまま、後見人になり、裁判所からの監督を受けることになるので、そこにずれが生じてしまうことが出てきます。
 例えば、夫婦の場合、ご主人の口座に入ってくる年金から奥様の分も含めて生活費を支出するとか、奥様の会食や旅行費用を支出するということは、ごく普通に行われていると思います。
 しかし、後見が開始して、ご主人が被後見人、奥様が後見人になったような場合、このような支出をすると、裁判所から突っ込まれることがあり得ます。
 被後見人の財産や収入を、後見人以外の親族や後見人自身のために使うことについては、その妥当性について、裁判所はしっかりとチェックしているからです。

 こうした第三者のための支出は、通常1年に一回行われる裁判所への定期報告の際に発覚するのですが、裁判所から、細かい質問がなされたりするのはもちろん、場合によっては調査人や監督人が付されることになっていまいます。

 実は、親族後見人についても、申立てを専門家に依頼した場合や信託後見人が就いたような場合には、そのようなトラブルを回避できる場合があります。
 通常、何らかの形で専門家が絡めば、定期報告の概要や、日々の後見業務の注意点をレクチャーしてくれるからです。

 例えば、私が、信託後見人になったとしたら、初回報告の際に、親族後見人と話し合い、例えば、「配偶者生活費」という項目を作り、月にいくらくらいかかるかの疎明資料を添付したうえで、年間収支予定に載せることをします。
 あるいは、信託契約締結後に辞任をして、財産引継を行う際に、「10万円以上の支出をするときや第三者のために支出をするときには、事前に家庭裁判所に相談してください」というような説明を行います。

 何らかの形で専門職が絡めば、専門家が書類作成する時に、あらかじめ予測できる第三者のための支出を事前に報告しておいたり、どのようなときに裁判所と相談する必要があるかをレクチャーしたりというようなことができるので、親族後見人としても、後見人としての行動がしやすくなると思うのです。

 そして、これが今回言いたかったことなのですが、後見監督人が就けば、監督人と日々の後見業務についての相談ができるし、定期報告等は、監督人がチェックしたうえで提出するので間違いがなくなります。
 また、監督人がいれば、裁判所と後見人が直接やり取りをすることはなく、監督人を介してやり取りが行われることになるので、慣れない裁判所とのやり取りでストレスを感じることもなくなります。

 確かに、そのために、監督人に報酬を支払うのは抵抗がある方もいるでしょうが、監督人にはそれなりの責任があるので、その対価という面も含めて、一定程度の報酬が発生するのはやむを得ないというのは、「その①」に書いた通りです。


 さて、今後のこととしては、後見人が気軽に相談できる専門家の存在が求められると思います。
 その一方で、監督人には重い責任があり、その責任がある以上、責任に見合うだけの報酬をいただく必要があるのもまた現実です。
 そこで、例えば、監督人の監督責任を軽減して、その分、報酬を下げ、監督人の指導・助言という側面をクローズアップして見てはどうかと思うのです。
 例えば、現在の監督人に加えて、後見助言人とか後見指導人というような人を選任し、後見人が気軽に相談できるようにしてはどうっでしょうか?
 そして、助言人や指導人には、申立てに関わった弁護士や司法書士がなったり、信託後見人がスライドして就任したりするとか、そのような運用をしてはいかがでしょうか?

 このようにするくらいならば、後見開始申し立てに関わった専門家等に、定期報告の書類作成を依頼したり、有料で相談すればいいじゃないかという気もします。
 しかし、後見業務には、一定程度深くかかわっているから適切な助言ができるという面があるし、多少強制的に、指導相談を求める体制にしておかないと、有料で業務相談等を行うことはしないことが多いという現実があります。

 それゆえ、主に、親族後見人について、助言人や指導人といった人たちを活用してみたらどうかと思うのです。
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[ 2019/08/13 06:05 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)

成年後見監督人が就くのは嫌ですか?(その①)

 調布市深大寺北町のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 こうご司法書士事務所では、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 こうご事務所のブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、成年後見制度について、司法書士の向後が思うところや考えを書き記しています。成年後見制度が大きく変わろうとしている今、成年後見に関わる専門職として、現場から考えた声を発信すべきではないかと考えたからです。

 今回は、成年後見等(保佐や補助含む)の監督人について考えていきたいと思います。
 なお、私が本当に書きたいことは、「その②」に書きますので、本稿は読み飛ばしていただいて結構です。
 今回はの内容は、本当に書きたいことの前提として、監督人とは何かということなのですが、これがわからないと、その②に書く内容はいまいちピンとこないのではないかと思い、前提的内容の「その①」を書くことにしました。

 主に親族が後見人になる場合、現預金といった流動資産の額が一定以上であると、専門職(主に弁護士か司法書士)が監督人に就くことがあります。
 あるいは、主に親族後見人について、定期報告等に疑問点等がある場合、調査人の調査を経たうえで、監督人が付されるような場合もあります。

 さらには、専門職後見人であっても、親族後見人よりは少ないですが、監督人が付されるケースもあります。

 また、成年後見の世界で専門職という場合、弁護士、司法書士、社会福祉士であり、家庭裁判所の名簿に登載された者のことをいうので、親族以外の第三者であっても、これらの三職以外の人たちは、親族と同様の基準で監督人が付される扱いのようです。

 さて、このように、特に親族が後見人になる場合、監督人が付されることが多いのですが、できれば監督人はいらないというのが親族後見人の方々の偽らざる気持ちなのではないかと思います。
 その理由の一つは、監督人の監督がわずらわしいことかもしれませんが、最大の理由は、監督人に支払う報酬があるからだと思います。

 監督人は、自分で何かをするのではなく、後見人の業務を監督する立場ですし、被後見人に何かが必要な場合でも、監督人自らが行動するのではなく、後見人に行動を促す立場になります。
 一見すると、何もしていないようにも見えます。

 また、事案によっては、後見人ですらあまりすることがないようなケースもあり、そのような場合、監督人にはなおさらすることはありません。

 にもかかわらず、監督人には、月に1万円から2万円程度の報酬が支払われることになります。
 後見人が監督人に対し、「何もしないのに報酬ばかり発生する」と考えてしまうのも、やむを得ざる面があるように思います。

 しかし、監督人の報酬は、行った職務に対して支払われる側面もありますが、同時に、監督人としての責任に対して支払われるという側面もあるように思います。
 監督人は、後見人等の監督につき善管注意義務を負っており、後見人の業務により被後見人が損害を負った場合、その損害を賠償しなくてはならない立場にある者になります。
 それゆえ、一見何もしないように見えても、一定程度の報酬が発生するのはやむを得ないと思うのです。

 それに、確かに、ごく一部の監督人は、文字通り何もしない人もいるかもしれませんが、多くの監督人は、3か月から半年に一回程度、後見人と面会し、通帳の原本を確認したうえで、コピーを取り、現金出納帳や領収書の確認を行っています。
 また、通常、家庭裁判所と相談するような事柄についても、監督人がいる場合、監督人に相談して業務を行うことになります。

 確かに、後見人になる場合に比べれば、監督人のほうが仕事量が少ないのは事実だと思います。
 しかし、それなりのことは行っており、高度の責任がある以上、現在の刊おt九人報酬は妥当なものなのではないかと思っています。

 勿論、監督人の報酬について批判がありうることは、専門職として認識しておく必要があるとは思います。


 さて、そうした現状を踏まえ、そうはいっても、監督人が就くのは本当に嫌ですか?というのが次回のお話です。
 監督人に、ろくに仕事もしていないのに報酬を支払わなくてはならない奴とか、監督人のせいでやりたいようにできないとか、そうした不満がありうるとしても、親族後見人にとって、監督人は、本当に、望まれえない存在なのかと思うのです。

 後見人として、一人で業務を行うのは、不安もあります。
 家庭裁判所とやり取りをしたり、定期報告や連絡票を提出したりするのも、どうしたらよいか、なかなか勝手がわからないように思います。

 そのようなとき、監督人を大いに利用してほしいのです。
 困ったときの相談相手として。

 次回は、「相談相手としての監督人」という観点から、親族後見人にとっての監督人の必要性を考えていけたらと思います。



[ 2019/08/06 17:31 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)
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