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調布市西つつじヶ丘(東京都多摩地域)の「こうご司法書士事務所」のブログです。調布市、三鷹市、武蔵野市、府中市、狛江市等の多摩地区を中心に、相続、相続登記、不動産登記、商業登記、成年後見、過払い金返還請求等の業務を行っています。

不動産登記名義人の住所が変わった場合、登記する必要はあるか?

●法律上の登記義務はない 

 不動産を所有している場合、不動産の登記簿には、所有者として、不動産を所有している方の氏名と住所が記載されています。
 それによって、不動産の所有者を公示し、取引の安全を図るというのが、不動産登記の役割です。

 また、不動産登記には第三者対抗要件といって、不動産譲渡の当事者以外の第三者にも、自分が所有者だと主張できるようになるという意味もあります(民法177条)。

 この、不動産登記は、法律上の義務でしょうか?

 結論から言うと、所有者の住所が変わったからといって、登記しなくてはならない義務はありません。

 商業登記(会社の登記)や不動産登記でも表示の登記には登記しなくてはならない法律上の義務があります。
 しかし、不動産登記のうち、権利の登記には、法的な登記義務はないのです。

 不動産登記のうち、権利の登記の一つである所有者の住所変更登記にも、法律上の登記義務はありません。
 登記をせずに放置していても、登記懈怠による過料に処せられるようなこともありません。
 法律上の登記義務がないのだから、登記をしないことに、法律上のペナルティがないのも、当然と言えば当然でしょう。


●住所変更登記をしないデメリットは? 

 そうは言っても、登記せずに放置していたら、何かデメリットはあるのでしょうか?

 例えば、売買による所有権移転登記の場合も、やはり、登記義務はありません。
 ですので、登記をせずに放置していても、何らかのペナルティを科せられることはありません。

 しかし、登記が対抗要件となっている関係上、登記をしないでいると不利益が生じる可能性があります。
 登記をしないでいるうちに、売主が、別の人にも不動産を売ってしまう(いわゆる二重譲渡)と、新たな買主に対して、自分がその不動産の所有者だと主張できない可能性があるのです。
 
 従って、売買による所有権移転のような場合、法律上の義務はなくても、所有権移転登記をするのが通常です。

 一方、住所変更登記を怠っていたからといって、所有権移転登記を怠っていた時のような問題が生じることはほとんど考えられません。
 その意味で、何回も引っ越しをしたりするような場合を除いて、住所変更登記をしないで放置しておくデメリットはあまりないと言えるでしょう。
 少なくとも、住所変更登記を急いでしなくてはならない必要はないでしょう。


●住所変更登記が必要な場合
 
 しかし、いずれ、住所変更登記が必要になる可能性は高いです。

 自分が住んだり、所有したりする分には、住所変更登記をしなくても、問題はないかもしれませんが、例えば、誰かに売ったり、担保権を設定したりするためには、その前提として、住所変更登記をして、登記簿上の住所を現在の住所にしておく必要があるからです。

 また、例えば、何十年も違う住所で登記しておくのは、法律上は問題ないとしても、それでいいのかという気は若干します。

 なお、相続登記の前提としては、住所変更登記は必要ありませんが、相続登記の際に、変更証明書として、登記簿上の住所と現在の住所がつながることを示す書類を添付する必要があるので、不動産を売らないで次の世代に受け継ぐという場合にも、後の世代の負担を軽減するためにも、住所変更登記をしておくのがいいのではないかと思います。


●何か所も住所移転をして放っておいた場合

 さて、住所変更登記をせずにいる間に、何回か住所変更をしているような場合もあるでしょう。
 その場合の登記はどうなるでしょうか?
 
 引っ越しした回数だけ、住所変更登記が必要でしょうか?

 答えは、NOです。

 最後の住所変更の分だけ登記すれば大丈夫です。

 ただし、不動産登記簿上の住所と現在の住所の繋がりが証明できなくてはなりません。
 現在の住所の住民票や引っ越し前の住民票の除票をすべて集めて住所の繋がりを証明する方法もありますが、本籍地で取得する戸籍の附票で住所を証明する方法が便利です。
 戸籍の附票には、戸籍ができてから現在までの住所がすべて載っているからです。

 しかし、戸籍の附票といえども万能ではありません。
 転籍や改製によって、古い戸籍が消除され、新しい戸籍に切り替わることがあるからです。
 その場合、新しい戸籍の附票には、古い戸籍時代の住所は載ってきません。
 しかも、戸籍の附票は、戸籍が消除されてから何年かすると(通常は5年。それよりも保管期間が長い自治体もあるようです)廃棄されてしまうからです。

 いずれ廃棄されるのは、除かれた住民票(除住民票)も同様です。

 従って、住所の繋がりがどうしても証明できないこともあります。
 その場合でも登記できないわけではないのですが、手間と労力がかなりかかることになります。

 この辺が、住所変更登記をしないで放置しておくことの、最大のデメリットかもしれません。


●住所移転を繰り返し、元の住所に戻った場合

 さて、住所移転をして、最終的に元の住所に戻ってきた場合はどうでしょうか?

 例えば、
登記簿上の住所 A所

B所に住所移転

A所に住所移転
 というような場合です。

 このような場合、住所変更の登記は不要です。

 とするなら、いずれ元の住所に戻ってくることが確実な場合は、住所変更登記をする実益はあまりないのではないでしょうか。

 或いは、毎年のように住所移転を繰り返しているというような場合、そのたびに登記をするのでは、煩雑だし、登録免許税の負担もバカになりません。
 そのような場合、住所が落ち着いてから登記をするか、何年かごとに登記をすれば十分ではないでしょうか。


●気が付かないうちに住所が変わってしまう場合もある

 同じ家に住んでおり、住民票も一回も動かしていないはずなのに住所が変わってしまうという場合もあります。

 例えば、住居表示実施や市制施行などです。
 
 住居表示についての説明は省略しますが、住居表示が実施されると住所が変わります。

 ポイントとなるのは、住居表示が実施されたり、市制が施行されて町が市になったりしても、不動産登記簿上の所有者の住所等が自動的に変わるわけではないということです。
 所有者が住所変更登記をしないと、いつまでも住居表示実施前の住所のままだったり、例えば、北多摩郡三鷹村というように、住所が町や村のままだったりするのです。

 なお、住居表示実施や市制施行を原因とする登記名義人住所変更登記の登録免許税は非課税となっています。
 ただし、もちろん、ご自身で登記をせずに、司法書士にご依頼いただく場合には、司法書士の報酬は発生してしまいます。

 
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[ 2016/06/25 17:33 ] 不動産登記 | TB(-) | CM(0)

町内会・認可地縁団体と登記 その2 これまでの法改正や制度改正の流れ

 町内会名義で不動産登記ができるか、できるとして、どのような手続きが必要かを考える前に、まずは、これまでの、法改正、判例の考え方、制度改正の流れをたどっていきたいと思います。
 
 なお、文章中、権利能力なき社団という言葉が出てきます。
 権利能力なき社団とは、法人のように権利能力があるとは認められていない社団(人の集まり)ということになります。
 町内会の全てが権利能力なき社団というわけではありませんが(権利能力なき社団と呼べるためには判例上、いくつかの要件があります)、ここでは、説明を簡単にするために、町内会=権利能力なき社団ということにしておきます。

 従来から登記実務では、町内会(権利能力なき社団)名義の不動産登記はできないとされてきました(昭和22年2月18日民甲第141号民事局長回答参照)。
 この先例は、町内会についてのものではありませんが、権利能力なき社団名義での不動産登記を否定しています。

 ではどうすればいいかというと、代表者個人もしくは構成員全員での共有名義で登記することになります(昭和23年6月21日民甲第1897号回答参照)

 なお、「東京町内会長 調布太郎」というように肩書付で登記できないかが問題となりますが、こういった肩書付の登記もできないとされています(昭和36年7月21日民三635号回答参照)。

 判例も、権利能力なき社団名義での不動産登記を否定しています(最判昭和47年6月2日 民集26巻5号957頁参照)。

 ここまでを整理すると、

町内会≒権利能力なき社団名義では不動産登記はできない
代表者個人名義か構成員全員の共有名義で登記するしか方法はない
代表者に肩書を付けての登記はできない
 

 ということになります。

 この前提は現在でも生きています。
 従って、現在でも単なる町内会名義での不動産登記はできないことになっています。

 しかし、このことには大きな問題があります。
 実質は町内会の土地であるのに登記上は(形式的には)代表者個人或いは何人もの共有になっているという状態には大きな問題があります。
 このことは登記が実態と異なっていることを意味し、不動産の権利関係を公示するという登記制度の目的に照らして妥当かどうか非常に問題があると思われます。

 この問題点について書きだすと長くなってしまいますし、今回は、制度や法改正の流れについてなので、問題点については省略します。
 問題点については、次回、書きたいと思います。


 そのような中、平成3年施行の地方自治法改正によって、認可地縁団体という制度が新たにできました。
町内会名義で不動産登記ができないことの問題点・不都合は従来から認識されていましたが、この改正によって、認可地縁団体となること(町内会が自治体の認可を受けること)が必要ではありますが、町内会名義での不動産登記ができるようになったのです。

 町内会名義での登記ができるようになったことは、画期的なことですが、まだまだ問題は山積しています。
 町内会名義での登記ができるようになったことと、現実に町内会名義の登記が出来るかどうかはイコールではないからです。

 分かりやすくするために、ちょっと誇張した事例を基に考えてみたいと思います。
 ある土地について、100年前に、当時の町内会のメンバー100人全てが登記権利者となり、持分100分の1ずつの共有の登記が行われたとします。

 町内会が認可地縁団体として認可を受けたとして、町内会名義にする場合の登記手続きはどのようなものになるでしょうか?
 
 この登記は、認可を受けた日を原因日付とする年月日委任の終了という登記になるのですが、問題はこの登記は、登記申請の大原則通り、登記権利者と登記義務者の共同申請となることです。

 登記権利者は町内会ですが、登記義務者は誰でしょうか?
 
 登記簿上の所有者である共有者100人が登記義務者ということになります。
 登記義務者が亡くなっていれば、その相続人全てが登記義務を承継します。

 従って、この登記は、形式上、共有者となっている100人の相続人全ての同意が必要なのです。

 共有者100人の相続人は何人いるのでしょうか?
 相続人がすでに亡くなっているケースも少なくないでしょうし、相続人にさらに相続が発生したりという数次相続も発生しているでしょう。
 もしかしたら、四次相続くらいまで発生しているかもしれません。 

 家督相続であれば相続人は一人でしょうが、昭和22年ころ以降の相続は現在のような相続制度ですので、権利義務を承継した人はネズミ算式に増えていくはずです。

 それらの人たち全員の同意(協力)がないと、この登記はできないことになりそうです。 

 仮に、今現在の共有者の登記義務を承継した人の数が1,000人になっていたとします。
 1,000人の人全ての協力が得られるでしょうか?

 仮に、町内会名義にすることについて、明確に反対している人がいなかったとしても、登記をするにはハードルがあります。

 全員の実印が必要ですし、委任状(登記原因証明情報も)に実印を押してもらう必要もあるでしょう。
 今は全然関係ない所に住んでいる人の全てが、自分に何の得にもならないのに、印鑑証明書を採ったり、委任状の作成に協力してくれたりするでしょうか?
 海外在住者が登記義務者になるときは、サイン証明を取得する必要があると思うのですが、自分に何の得にもならない手続きのために、領事館に出向いて、サイン証明を取ってくれることに期待していいのでしょうか?

 そう考えると、登記実現のためのハードルは、かなり高そうです。

 もし、反対者がいたり、協力してくれない人がいる場合、登記手続請求訴訟(場合によっては所有権確認訴訟)を提起することも考える必要があるかもしれません。

 さらに、登記義務者の承継者の中に、不在者がいる場合、意思能力に問題がある方がいる場合等はどうすればいいのでしょうか?
 不在者財産管理人や後見人選任して、町内会名義への移転登記手続きを行うことになるのでしょうか?
 或いは、公示送達を利用するとか。


 この辺のことについては、また改めて書きたいと思いますが、考えれば考えるほど、このような面倒な手続きを好き好んでやる人はいるのだろうかと考えてしまいます。

 実際、形式上、共有名義にしておいても、町内会名義への所有権移転登記の手間暇や費用(土地評価額の2%の登録免許税がかかります)を考えれば、そのままにしておいてもいいのではないかと思えてきます。

 しかし、どうしても町内会名義にする必要が出てくる場合もあります。

 例えば、その土地が、道路等の公共事業用地になった場合です。

 このような場合、権利関係がはっきりしない状態で収用が行われる例もあるようです。
 毎年発行されている土地収用裁決例集(ぎょうせい/全国収用委員会連絡協議会編)を見ると、収用の裁決を見ることができますが、所有者を「○○町内会又は登記簿上の共有者の相続人」というようにしたうえで、収用裁決が出ている例を年に数件確認できます。

 ただ、収用という形で解決するよりは、町内会等の協力を得たうえで、実態通り、町内会名義に土地を集約したうえで、買収等が行われるほうが望ましいという判断が行政側にはあるようです。

 いずれにせよ、町内会名義にするには困難が伴い、それによって、公共事業自体を断念したり、必要以上に時間がかかる例もあるようです。 


 こうした事情もあって、平成27年4月から認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例という制度(地方自治法第260条の38、第260条の39)が発足しました。
  総務省のHPにある、地縁団体名義への所有権移転登記手続の改善促進(概要-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-)という資料で、この辺の事情を伺うことができます。

 今回は制度改正の変遷をたどるだけですので、この特例についての説明等は次の機会に譲りますが、この特例について一言で言うと、認可地縁団体が所在する市町村長に対して、疎明資料を添付し認可地縁団体の所有する不動産である旨の申請を行い、市町村長が所有を認めた際に証明書が交付される。この証明書を添付することにより認可地縁団体単独で、認可地縁団体への所有権移転登記(もしくは保存登記)が可能となるという制度になります。

 つまり、条件はありますが、共同申請という登記の原則の例外として、認可地縁団体が、登記義務者の協力なく、単独で所有権移転(保存登記)ができる制度ができたということになります。
  
 この制度は、平成27年4月から始まったばかりの制度なので、まだまだよくわからない面も少なくないです。
 ただ、利用例はいくつもあるようなので、今後、分析や解説がまとめられることが期待されます。

 なお、特例ができて以降も、従来通り共同申請で所有権移転登記を行うことはできますので、念のため付記しておきます。


 町内会、認可地縁団体をめぐる法改正や制度改正の流れについては以上となります。
 次からは、具体的な登記や手続きについて書いていけたらと考えています。
 
  
 
[ 2016/01/06 15:34 ] 不動産登記 | TB(-) | CM(0)

町内会・認可地縁団体と登記 その1 概説

 町内会名義で不動産登記はできるでしょうか?

 以前は、町内会名義で不動産登記をすることはできませんでした。
 また、○○町内会長 ▲▲というような、肩書付の登記も認められていません。

 ではどうするかというと、
①肩書なしの代表者個人名で登記をする
②町内会のメンバー全員の共有として登記をする
 この二通りから選択せざるを得ないことになります。

 しかし、この登記には問題があります。

 登記簿を見ただけでは、町内会所有の不動産であることがわからないからです(何十人もの共有だったり、登記原因が「委任の終了」であったりする場合、町内会所有の土地ではないかということが推測できますが、逆に言うと推測できるにすぎず、町内会所有の土地と断定はできないのではないでしょうか)。

 そこで、平成3年に地方自治法の改正があり、認可地縁団体という制度ができました。
 認可地縁団体の制度とは、町内会等の地縁団体のうち、一定の要件を満たすものについて、自治体が認可をすることで、認可地縁団体名義での登記ができるようになるというものです。

 従って、冒頭の問いの答えは、
単なる町内会名義での不動産登記はできないが、一定の要件を満たし認可を受けた認可地縁団体になれば、町内会名義での不動産登記も可能になる
 ということになります。


 一言で言ってしまえば簡単なことのように思えるかもしれませんが、現実には問題がいくつもあり、町内会名義の不動産登記をするのはなかなか大変なのではないかと思われます。

 これから不動産を購入するような場合、あるいはつい最近不動産を購入したような場合は、問題はあまりないかもしれません。

 しかし、何十年(場合によっては100年くらい前)に町内会が取得した土地を考えてみると、かなりの困難が予想されます。

 例えば、
80年くらい前に町内会が土地を取得した。
当時は町内会名義で登記する方法がなかった
そこで、やむを得ず、町内会のメンバー20人の共有登記をした(登記簿の甲区1番に20分の1持分の共有者20人が記載されている)。
相続登記等は入っていない。
その土地を、実態に合うように、町内会名義の土地としたい
 というような場合を考えてみます。

 取りあえず、認可地縁団体としての認可を受けたとします。

 この場合の登記は、認可を受けた日付で、「年月日委任の終了」を登記原因とする登記になります。
 また、登記の一般原則通り、登記は登記権利者と登記義務者による共同申請になります。

 登記義務者はおそらく亡くなっているでしょうが、登記義務者が亡くなっている場合、その相続人が登記義務を引き継ぐことになります。
 ただ、相続登記を経由する必要はなく、登記簿上の共有者から町内会に所有権が移転(持分が移転)することになります。

 登記義務者が亡くなっている場合、登記義務は相続人全員が引き継ぐので、相続人全員が町内会への移転登記にYESと言わなければ、登記はできないことになりそうです。
 80年も前の20人の共有者にそれぞれ何人も子供がいて、更にその子供にも何人も子供がいて....、と考えていくと、現時点での相続人はかなりの数に上ることが予想されます。

 今回の例の場合、20人の共有ですから、20ケースに分けて考えると、20ケースのうち、相続人全員の同意が得られたケースから順次、町内会名義へと所有権移転登記(持分移転登記)をいっていくことになるのでしょうか。

 相続人全員が同意してくれるとは限りません。
 所在不明な人もいるかもしれません。
 意思能力に問題がある人もいるかもしれません。

 そのような場合にはどうするのでしょうか?

 裁判を起こしたり、不在者財産管理人を選任したり、成年後見人を選任して、町内会名義への移転登記を進めるのでしょうか?
 ここまでくると、移転登記が可能かどうかという問題よりも、なぜこんなに手間暇をかけて移転登記をしなくてはならないのかという問題がクローズアップされてきそうです。


 なお、裁判を起こす場合に参考になるかもしれない先例があります。
平成22年12月1日付法務省民二第3015号
 この先例は、委任の終了を原因とする認可地縁団体への所有権移転登記について、登記義務者の相続人の一部を被告とする判決書謄本(正本の誤りか?)を添付することで、認可地縁団体単独での登記を認めています。

 また、平成27年4月の地方自治法改正で、認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例という制度ができました。
 この制度は、一定の要件を満たし、公告期間に異議が出ない場合には、認可地縁団体単独での登記を認めるものです。

 この辺も含めて、認可地縁団体と登記については、また別の機会に、私見を交えて書いてみようかなと思います。

 認可地縁団体と登記については、興味深い論点、個人的にはよくわからない論点等もあり、興味が尽きません。
 この辺について、情報交換、ご教示してくださる方がいらっしゃったら、ご連絡いただけると嬉しいです。


 
 
[ 2015/12/21 18:06 ] 不動産登記 | TB(-) | CM(0)

判決による登記 具体例(1) 披相続人名義のままの土地を買った場合

●判決による登記とは

 登記は登記権利者と登記義務者の双方による共同申請が原則です。
 通常の売買を念頭に置いた場合、売主が登記に応じないという事態はあまり考えられないかもしれません。
 しかし、揉め事が起こって、登記義務者等、相手方が登記手続きに応じないことも考えられます。
 また、売買以外の、例えば時効取得など、そもそも、登記原因が、登記権利者と登記義務者の意思の合致により発生したのではないようなケースも考えられます。

 このように、登記をしようと思っても、登記義務者(場合によっては登記権利者)の協力が得られない場合、相手方を被告として、登記手続せよという判決を得ることによって、単独で登記申請をすることができます。
 これを判決による登記と呼んでいます。


●今回の事例と必要な登記

 さて、相続登記未了の不動産を買ったが、相手方が登記手続に応じない場合はどうしたらよいでしょうか?

 例えば、

AはBから不動産を買ったが、その土地はBの亡き父親C名義だった。
BはAへの所有権移転登記に応じない。

 というような場合です。

 なお、別の問題が発生しないように、披相続人Cの相続人はBのみであるとしておきます。

 まず、この場合、どのような登記が必要か考えてみます。
 物件がどのように変動したか見てみると

①CからBへの相続による所有権移転
②BからAへの売買による所有権移転

 というように、二つの物権変動があります。

 従って、登記も、

①Cが亡くなった日を原因日付とするCからBへの相続による所有権移転登記
②売買が成立し日を原因日付とするBからAへの売買による所有権移転登記

 の二本の登記が必要となります。

 CからAに直接所有権移転登記ができるわけではないので注意が必要です。

 ちなみに、売買契約の当事者がCで、所有権移転登記をしないうちにCが亡くなった場合は、相続登記の必要はなく、CからAへ直接所有権移転登記をすることになります。
 相続の前に売買が成立している、すなわち、相続の前にCからAに所有権が移っているからです。

 さて、もしBが登記手続きに応じてくれるとしたら、Bが単独で相続による所有権移転登記をし、後件でAB共同で売買による所有権移転登記をすることになります。


●登記義務者の協力が得られない場合の判決による登記

 今回は、Bが登記手続きに応じてくれません。
 そういった場合どうしたらいいのでしょうか?

 解決法として有力ななのが、判決による登記です。
 この場合どのような判決をもらえばいいのでしょうか?

 結論から言うと、
「Bは、Aに対し、別紙物件目録記載の土地につき、平成25年1月10日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ」
 というような判決を得て、単独で登記申請をすることになります。

 そうだとすると、当然、相続登記は?という疑問が生じると思います。

 相続登記は、判決による登記の対象とはなりません。
 仮に「相続を原因とする所有権移転登記手続をせよ」という判決を得たとしても、それをもとに、Aが判決に基づいて単独で登記をすることはできません。

 この場合は、代位による登記を行います。
 判決書正本を代位原因証明情報として添付し、売買による所有権移転登記請求権を被保全債権として、代位による相続登記を行います。

 つまり、
「Bは、Aに対し、別紙物件目録記載の土地につき、平成25年1月10日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ」
 というような判決を得ることを前提に、

一件目  年月日相続を原因とするCからBへの所有権移転登記(Bに代位してAが申請する)
二件目  年月日売買を原因とするBからAへの所有権移転登記(判決により、Aが単独で申請する)


 という、二件の登記を申請することになるというのが今回の結論です。


※判決理由中に相続によってBが所有権を取得した旨認定があれば、戸籍等の相続証明書の添付が省略される扱いがありますが、今回はそれについての詳細は触れないことにします(詳しくは平成11年6月22日民三1259民事局第三課長回答等をご参照ください)。
 
[ 2015/09/14 15:26 ] 不動産登記 | TB(-) | CM(0)

判決による登記(4) 判決による登記と執行文(承継執行文除く)

 判決による登記については、
判決による登記(1) 判決による登記とは?
判決による登記(2) どのような判決をもらう必要があるか?
判決による登記(3) 判決と同一の効力を有するもの
 と三回に渡って書いてきました。

 今回はその四回目として、判決による登記と執行文(執行文は必要か?)について書いてみたいと思います。

 今回のお話の前提として執行文とは何かが分からないと話が続かないので、執行文とは何かを簡単に説明すると、強制執行のために必要な文ということになります。
 つまり、強制執行、すなわち判決を得て単独で登記をするには、判決文の他に執行文という別の文(別の書類あるいは別の手続)が必要なのかということです。

 結論から言うと、原則として執行文は不要です。

 判決による登記は、判決によって登記義務者(場合によっては登記権利者)の意思表示を擬制することで、共同申請の例外として単独申請を認めるところに意義があります。
 登記とは本来権利者と義務者の双方の意思によって共同で行うものですが、片方が登記手続に応じないときに、登記手続を命じる判決をもらうことで片方の意思を擬制し、双方の意思で登記をしたのと同様の形式が整えられるという仕組みになっているのです。

 つまり、判決による登記における判決とは、登記申請の意思表示をすべきことを命じる判決なのですが、意思表示を命じる判決については、民事執行法に次のような定めがあります。

民事執行法第174条1項本文 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。

 このように、裁判が確定した時点で、意思表示をしたものとみなされ、登記申請の意思表示以上何かを強制的に執行するという必要はないので、確定判決の正本さえあれば、執行文はいらないということになるのです。

 しかし、例外的に執行文が必要な場合が三つあります。
 この例外についても、民事執行法174条に書かれています。

民事執行法第174条1項但書  ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第27条第1項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第3項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
2.債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
3.債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。

例外①債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るとき
 例えば、農地法の許可が条件になっているような場合です。
 農地法の許可と判決による登記については、また別の機会に詳しく書きたいと思います。

例外②債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合
 例えば、反対給付が条件となっている場合です。
 「Aが100万円支払うのと引き換えに、Bは所有権移転登記手続をせよ」というような場合、Aは反対給付又はその提供のあつたことを証する文書(領収書等)を提出して、執行文を得ないと、判決による登記をすることができないことになります。

例外③債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合
 例えば、債務の返済をしないときは代物弁済をするというような場合です。
「BがAに対し1000万円を払わないときは、BはAに対し、代物弁済による所有権移転登記手続をせよ」というような場合、Aに支払いがないことを立証させるのではなく、Bに支払いのあったことを立証させ、債務者=Bの証明すべき事実(1000万円の支払い)のない場合(Bが1000万円を市はラットことを立証できない場合)に、執行文の付与を条件に、判決による登記を認めるということになります。

 この他に当事者が変わった時の承継執行文というものもありますが、今回は省略します。
[ 2015/09/04 15:26 ] 不動産登記 | TB(-) | CM(0)
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