こうご司法書士事務所ブログ
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調布市深大寺(東京都多摩地域)の「こうご司法書士事務所」のブログです。調布市、三鷹市、武蔵野市、府中市、狛江市等の多摩地区を中心に、相続、相続登記、不動産登記、商業登記、成年後見、過払い金返還請求等の業務を行っています。

成年後見監督人が就くのは嫌ですか?(その②)

 東京都の多摩地区、調布市のこうご司法書士事務所です。
 こうご司法書士事務所では、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 こうご事務所のブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、司法書士の向後が、成年後見制度について、思うところや考えを書き記しています。
 今、成年後見制度が大きく変わろうとしており、成年後見に関わる専門職として、現場から考えた声を発信すべきではないかと考えたからです。

 前回から、成年後見等(保佐や補助含む)の監督人について書いていますが、今回はその二回目です。。
 「その①」には、今回の前提として、監督人とは何かということを書いてみました。監督人に就いてご存知の方は、「その①」は読まなくてもいいかなと思います。

 さて、前回の最後に触れたように、今回は、、「相談相手としての監督人」という観点から、親族後見人にとっての監督人の必要性を考えていきたいと思います。

 当然のことながら、親族後見人にとって、後見業務(後見人としての活動)は初めてのことだと思います。
 一方、我々専門職は、一見似たようですが、実際には人それぞれ、多種多様な問題を抱えている後見業務を、延件数でいうと数十件は行っています。
 また、研修を受けたり、書籍を読んだり、専門職同士議論を交わしたりと、日々研鑽を積んでいます。

 そこには、当然、経験や知識の差が生じますし、何よりも、親族と第三者である専門職には倫理観の差が生じざるを得ません。
 専門職は、倫理について人一倍敏感であるうえ、倫理についても常に学びの対象としていますし、家族や親族が第三者である専門職よりも倫理観が薄いのはある意味当然だと思います。
 親族が後見人になる場合、後見人であると同時に家族でもあり、家族である以上、第三者が業務として行う場合に比べて、倫理観が薄まってしまうのは、むしろ当然であると思います。

 このように、親族後見人には、経験や知識の不足や、倫理観が比較的薄いことから、無意識のうちに、裁判所が期待する役割とは反するような行動をしてしまうことがあります。
 無意識に行っているものであるため、裁判所から指摘を受けることだけで苦痛を感じたりストレスになる面もありますし、場合によっては、調査人による調査がなされたり、監督人が就いてしまうこともあります。

 後見等が開始すると、基本的に、被後見人の財産は、後見人はもちろん、他の家族の資産からも切り離され、分別して管理されることになり、被後見人の資産や収支は、裁判所への報告の対象となります。
 しかし、これまで家族として、収支を分けたり財産を分けたりすることなく生活してきたのに、突然、収支や財産を分けるといっても、なかなか難しいものがあります。特に夫婦のような場合、むしろ、収支や財産を分けていることのほうがまれで、夫婦の財産や収支と認識して、生活しているのが一般的だと思います。

 少なからぬ場合、そのような家族としては当然の認識を持ったまま、後見人になり、裁判所からの監督を受けることになるので、そこにずれが生じてしまうことが出てきます。
 例えば、夫婦の場合、ご主人の口座に入ってくる年金から奥様の分も含めて生活費を支出するとか、奥様の会食や旅行費用を支出するということは、ごく普通に行われていると思います。
 しかし、後見が開始して、ご主人が被後見人、奥様が後見人になったような場合、このような支出をすると、裁判所から突っ込まれることがあり得ます。
 被後見人の財産や収入を、後見人以外の親族や後見人自身のために使うことについては、その妥当性について、裁判所はしっかりとチェックしているからです。

 こうした第三者のための支出は、通常1年に一回行われる裁判所への定期報告の際に発覚するのですが、裁判所から、細かい質問がなされたりするのはもちろん、場合によっては調査人や監督人が付されることになっていまいます。

 実は、親族後見人についても、申立てを専門家に依頼した場合や信託後見人が就いたような場合には、そのようなトラブルを回避できる場合があります。
 通常、何らかの形で専門家が絡めば、定期報告の概要や、日々の後見業務の注意点をレクチャーしてくれるからです。

 例えば、私が、信託後見人になったとしたら、初回報告の際に、親族後見人と話し合い、例えば、「配偶者生活費」という項目を作り、月にいくらくらいかかるかの疎明資料を添付したうえで、年間収支予定に載せることをします。
 あるいは、信託契約締結後に辞任をして、財産引継を行う際に、「10万円以上の支出をするときや第三者のために支出をするときには、事前に家庭裁判所に相談してください」というような説明を行います。

 何らかの形で専門職が絡めば、専門家が書類作成する時に、あらかじめ予測できる第三者のための支出を事前に報告しておいたり、どのようなときに裁判所と相談する必要があるかをレクチャーしたりというようなことができるので、親族後見人としても、後見人としての行動がしやすくなると思うのです。

 そして、これが今回言いたかったことなのですが、後見監督人が就けば、監督人と日々の後見業務についての相談ができるし、定期報告等は、監督人がチェックしたうえで提出するので間違いがなくなります。
 また、監督人がいれば、裁判所と後見人が直接やり取りをすることはなく、監督人を介してやり取りが行われることになるので、慣れない裁判所とのやり取りでストレスを感じることもなくなります。

 確かに、そのために、監督人に報酬を支払うのは抵抗がある方もいるでしょうが、監督人にはそれなりの責任があるので、その対価という面も含めて、一定程度の報酬が発生するのはやむを得ないというのは、「その①」に書いた通りです。


 さて、今後のこととしては、後見人が気軽に相談できる専門家の存在が求められると思います。
 その一方で、監督人には重い責任があり、その責任がある以上、責任に見合うだけの報酬をいただく必要があるのもまた現実です。
 そこで、例えば、監督人の監督責任を軽減して、その分、報酬を下げ、監督人の指導・助言という側面をクローズアップして見てはどうかと思うのです。
 例えば、現在の監督人に加えて、後見助言人とか後見指導人というような人を選任し、後見人が気軽に相談できるようにしてはどうっでしょうか?
 そして、助言人や指導人には、申立てに関わった弁護士や司法書士がなったり、信託後見人がスライドして就任したりするとか、そのような運用をしてはいかがでしょうか?

 このようにするくらいならば、後見開始申し立てに関わった専門家等に、定期報告の書類作成を依頼したり、有料で相談すればいいじゃないかという気もします。
 しかし、後見業務には、一定程度深くかかわっているから適切な助言ができるという面があるし、多少強制的に、指導相談を求める体制にしておかないと、有料で業務相談等を行うことはしないことが多いという現実があります。

 それゆえ、主に、親族後見人について、助言人や指導人といった人たちを活用してみたらどうかと思うのです。
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[ 2019/08/13 06:05 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)

成年後見監督人が就くのは嫌ですか?(その①)

 調布市深大寺北町のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 こうご司法書士事務所では、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 こうご事務所のブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、成年後見制度について、司法書士の向後が思うところや考えを書き記しています。成年後見制度が大きく変わろうとしている今、成年後見に関わる専門職として、現場から考えた声を発信すべきではないかと考えたからです。

 今回は、成年後見等(保佐や補助含む)の監督人について考えていきたいと思います。
 なお、私が本当に書きたいことは、「その②」に書きますので、本稿は読み飛ばしていただいて結構です。
 今回はの内容は、本当に書きたいことの前提として、監督人とは何かということなのですが、これがわからないと、その②に書く内容はいまいちピンとこないのではないかと思い、前提的内容の「その①」を書くことにしました。

 主に親族が後見人になる場合、現預金といった流動資産の額が一定以上であると、専門職(主に弁護士か司法書士)が監督人に就くことがあります。
 あるいは、主に親族後見人について、定期報告等に疑問点等がある場合、調査人の調査を経たうえで、監督人が付されるような場合もあります。

 さらには、専門職後見人であっても、親族後見人よりは少ないですが、監督人が付されるケースもあります。

 また、成年後見の世界で専門職という場合、弁護士、司法書士、社会福祉士であり、家庭裁判所の名簿に登載された者のことをいうので、親族以外の第三者であっても、これらの三職以外の人たちは、親族と同様の基準で監督人が付される扱いのようです。

 さて、このように、特に親族が後見人になる場合、監督人が付されることが多いのですが、できれば監督人はいらないというのが親族後見人の方々の偽らざる気持ちなのではないかと思います。
 その理由の一つは、監督人の監督がわずらわしいことかもしれませんが、最大の理由は、監督人に支払う報酬があるからだと思います。

 監督人は、自分で何かをするのではなく、後見人の業務を監督する立場ですし、被後見人に何かが必要な場合でも、監督人自らが行動するのではなく、後見人に行動を促す立場になります。
 一見すると、何もしていないようにも見えます。

 また、事案によっては、後見人ですらあまりすることがないようなケースもあり、そのような場合、監督人にはなおさらすることはありません。

 にもかかわらず、監督人には、月に1万円から2万円程度の報酬が支払われることになります。
 後見人が監督人に対し、「何もしないのに報酬ばかり発生する」と考えてしまうのも、やむを得ざる面があるように思います。

 しかし、監督人の報酬は、行った職務に対して支払われる側面もありますが、同時に、監督人としての責任に対して支払われるという側面もあるように思います。
 監督人は、後見人等の監督につき善管注意義務を負っており、後見人の業務により被後見人が損害を負った場合、その損害を賠償しなくてはならない立場にある者になります。
 それゆえ、一見何もしないように見えても、一定程度の報酬が発生するのはやむを得ないと思うのです。

 それに、確かに、ごく一部の監督人は、文字通り何もしない人もいるかもしれませんが、多くの監督人は、3か月から半年に一回程度、後見人と面会し、通帳の原本を確認したうえで、コピーを取り、現金出納帳や領収書の確認を行っています。
 また、通常、家庭裁判所と相談するような事柄についても、監督人がいる場合、監督人に相談して業務を行うことになります。

 確かに、後見人になる場合に比べれば、監督人のほうが仕事量が少ないのは事実だと思います。
 しかし、それなりのことは行っており、高度の責任がある以上、現在の刊おt九人報酬は妥当なものなのではないかと思っています。

 勿論、監督人の報酬について批判がありうることは、専門職として認識しておく必要があるとは思います。


 さて、そうした現状を踏まえ、そうはいっても、監督人が就くのは本当に嫌ですか?というのが次回のお話です。
 監督人に、ろくに仕事もしていないのに報酬を支払わなくてはならない奴とか、監督人のせいでやりたいようにできないとか、そうした不満がありうるとしても、親族後見人にとって、監督人は、本当に、望まれえない存在なのかと思うのです。

 後見人として、一人で業務を行うのは、不安もあります。
 家庭裁判所とやり取りをしたり、定期報告や連絡票を提出したりするのも、どうしたらよいか、なかなか勝手がわからないように思います。

 そのようなとき、監督人を大いに利用してほしいのです。
 困ったときの相談相手として。

 次回は、「相談相手としての監督人」という観点から、親族後見人にとっての監督人の必要性を考えていけたらと思います。



[ 2019/08/06 17:31 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)

信託後見人のあり方

 東京都調布市のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 こうご司法書士事務所では、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 このブログでは、「成年後見制度について考える」というカテゴリを作り、成年後見制度について、司法書士の向後が思うところや考えを書き記しています。
 今回は、信託後見人につき、主に、信託契約を締結し、信託後見人を辞任し、親族後見人に財産引継をした後のことについて書いてみたいと思います。

 その前に、信託後見人とは何かというと...。

 親族を候補者として、後見開始の申し立てをした場合において、一定以上の流動資産(預貯金や株など)がある場合、後見開始の審判の前に、家庭裁判所から、成年後見制度支援信託を利用するか、後見監督人を就けるかの選択を求められることがあります(というか、その選択を求められることがほとんどです)。
 そこで、成年後見制度支援信託を利用することを選択した場合、親族が後見人になると同時に、専門職が信託後見人として就任することになります。
 そして、専門職たる信託後見人はいったん、被後見人の財産を預かり、信託するのが適切かを調査判断し、家庭裁判所から指示書の形で信託契約の支持を受け、信託契約を締結し、その後辞任し、親族後見人に引継を行い業務を終了するというのが、大まかな流れです。

 なお、現在では、支援信託の他に、支援預金というものもあり、家裁から求められる選択肢は、後見制度支援信託、後見制度支援預金、後見監督人の三つとなっています。
 また、保佐や補助の場合、支援信託も支援預金もありませんので、監督人を就けるという一択になります。
 
 ちなみに、同じ「信託」という言葉を使っていますが、後見制度支援信託は、民事信託や家族信託都は全く別のものです。

 ということを前提に、今回は、信託後見人が辞任をし、親族後見人に引き継いだ後のお話です。
 信託後見人は、信託契約を締結し、信託口に解約した預金等を振り込むと辞任の申し立てを行います。そして、辞任した後は、後見人ではなくなり、新おz区後見人への引継をもって後見業務は終了し、基本的に後見人としての業務は何もできなくなります(逆に言うと、何もしなくてよいことになります)。

 その後のことは、信託後見人(であった者)である専門職には、何も関係はないし、あずかり知らぬことであるということになりそうです。
 しかし、本当にそれでいいのかというのが今回のお話です。

 ほとんどの親族後見人にとって、後見業務は初めての経験です。
 わからないことがたくさんあるのはむしろ当然だと思います。
 特に、裁判所に事前に相談する必要があるような事柄が発生したときや1年に一回の定期報告への対応はなかなか大変だと思います。

 「事前に相談するような事柄が発生したとき」と書きましたが、そもそも、何が裁判所に事前に相談すべきことで、何が裁判所に事前に相談しなくてもよいことかがわからないのが通常だと思います。
 私の場合、引継の時に、このような場合には事前に裁判所に相談してくださいということはお話していますが、事前に説明を聞いても、いざそのときになったらわからないものです。

 そのような場合、もし、監督人がいれば、その都度監督人に相談すればいいのです。
 私は、信託の利用と監督人の選任の選択を求められた場合、信託を利用する方が多いようの印象を持っていますが、監督人の報酬が発生したとしても、監督人の選任を選んだほうが楽なのではないかと思っています。
 後見人として活動するには、後見業務について相談する人が必要であり、その最適任者は監督人であることは間違いないだろうと思うのです。

 定期報告書類の作成も、慣れていないと大変ですが、監督人がいれば、監督人にチェックしてもらい、監督人を経由して報告を提出することになるので、定期報告の面でも、監督人がいるほうが楽になります。
 結果的に、後見人ではなく、監督人が報告書類を作成するというようなこともありますし...。 

 そのようなことを、自分一人で行わなくてはならなくなってしまった親族後見人は非常に大変だと思います。
 広い海に、地図もなく放り出されたようなものです。

 しかし、よく考えると、その事案について、よく知っている人間が一人いるはずです。
 それはもちろん、かつて信託後見人だった人です。

 確かに、その人は、過去、信託後見人であったというだけであり、もうすでに後見人ではありません。
 しかし、後見のプロで、しかも、その件に関わった人がいるわけですから、困ったときにここに頼らない手はないと思います。

 少なくとも私は、困ったことがあったらいつでも相談してくださいとお伝えして、親族後見人の方への引継を行っています。
 実際、親族の方々にとって何もわからないことであっても、専門職にとっては、すぐに回答を用意できるような内容のものがほとんどです。多くの困りごとは、電話でお答えするだけで済むので、そのようなことについては、基本的に無料で対応しています。
 もちろん、定期報告を代わりに作ってほしいとか、連絡票を作ってほしいというような場合は、報酬をいただくことにはなりますが。
  
 私の場合、信託後見人としての業務終了後もお気軽にご相談くださいというスタンスですが、あくまでそれは私がそのようなスタンスでいるというだけで、かつて信託後見人だったからといって、親族後見人の相談に応じなくてはならないという義務はありません。
 ただ、やはり、専門職として信託契約に関わり、報酬を得た以上、困りごとへの関与や悩みを聞くことを一定の範囲で行うことは、すべきなのではないかと思います(有料か無料かは別として)。

 私は、成年後見制度支援信託には諸手を挙げて賛成というわけではなく、監督人を就けることを前提とするか、監督人を就けることと併用して支援信託を利用すべきであると考えています。
 少なくとも、最初の定期報告までは監督人を就けるとか、そのような運用があってよいと思います。
 そうでないと、何もわからない状態で困ってしまう親族後見人が出てきてしまうからです。

 ただ、現状は、後見制度支援信託というものがあり、支援信託を利用すれば監督人はつかないという運用が行われているので、それを前提とする限り、半分サービスとして、信託後見人は、辞任後もしばらくは、親族後見人からの相談等に対して、積極的な支援を行うべきだと考えます。

 なお、有料にはなりますが、私自身が関わった件以外についても、ご相談や報告書類の作成を行えたらと考えています。
 ただ、基本的に、東京管轄のものに限るので、よろしくお願いいたします。

[ 2019/07/15 08:51 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)

狭義の後見と広義の後見

 調布市深大寺北町のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 こうご事務所では、東京都多摩地区にて、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 このブログでは、「成年後見について考える」というカテゴリを新たに作り、成年後見制度について考えていきたいと思っています。
 なぜそのように考えるかというと、今、成年後見制度は変革期、あるいは曲がり角を向えており、成年後見を業務として行っている専門家として、この時期に、自分の意見や考えを示しておく必要があると思うからです。

 さて、今回は、「狭義の後見」と「広義の後見」について考えていきたいと思います。
 と言っても、いずれも私が考えた造語であり、、「狭義の後見」とか「広義の後見」とかいう言葉を何の説明もなく使っても、だれも意味を知らないのでご注意ください。
 成年後見について考えていくうえで、、「狭義の後見」とか「広義の後見」という言葉や分類を使うと非常に便利だと思うので、このブログでも、まずは私が考える、「狭義の後見」と「広義の後見」についてご説明したうえで、以後、これらの言葉を使って、成年後見について考えていけたらと思っています。

 まず、「狭義の後見」とは法定後見を指します。
 家庭裁判所の審判を経て行われる、成年後見、保佐、補助のことです。

 それに対して、「広義の後見」とは、法定後見以外のもので、法定後見の代替的なものや法定後見と同様の役割を果たす各種サービスのことを指します。
 例えば、私は、「広義の後見」に含まれるものとしては、任意後見、民事信託(家族信託)、財産管理r契約、社会福祉協議会の地権サービス、あるいは福祉関係や等により事実上行われている財産管理的サービス等があると思います。
 それだけではなく、認知症の方向けの金融機関や老人ホーム等の対応の変更など、現在成年後見人が行う必要がされて事柄について、後見人の関与なしに行えるように対応を変更するというような、後見が必要とされる分野での後見を不要とする対応や運用の変更、取り組みなども広い意味では「後見」に含めてよいと考えています。

 また、「広義の後見」に含まれるものとしては、現在存在しないものも含まれ、例えば、遺産分割や不動産の売却などの課題が解決したら終了するワンポイント型の法定後見、行政サービスとしての成年後見的サービス(後見の司法から行政への移行)など、現在の制度の変更や新しい制度の創設も「広義の後見」として検討されてよいと思います。

 そのうえで、私は、既に存在する制度の拡充や新しい制度や運用の創設により、「広義の後見」の領域を増やしつつ、「狭義の後見」の担う領域を減らしていくべきであると考えています。
 現在取り組まれている成年後見の利用促進も、狭義の後見である法定後見の利用促進ではなく、広い意味での後見の利用促進であるべきではないかと考えています。

 言い方を変えると、 私は、成年後見制度について考えるということは、「広義の後見」について考え、現在、「狭義の後見」に属している事案のうち、真に「狭義の後見」に存在させる必要があるものや何らかの事情で「狭義の後見」に残さざるを得ないもののみを「狭義の後見」に残し、それ以外のものを「広義の後見」に移していくという作業を意味するのではないかと思うのです。

 このブログでは、なぜそのように考えるかや、私の考える「後見」の将来像、そして、私が「狭義の後見」と呼ぶ法定後見から広い意味での後見に移したほうがよいと考えるものはどういった事案かということを書いていきたいと思います。

 多くの方にとっては、興味も関心もないことであると思いますが、9割がたは、自分自身の考えをまとめるために、書いていけたらと思います。
 その作業によって、成年後見について、何らかの閃きや新たな視点を持つ方が、一人でも表れてくれれば、まさに、望外の極みです。
[ 2019/07/11 03:03 ] 成年後見制度について考える | TB(-) | CM(0)

業務としての後見制度の今後

 東京都調布市深大寺北町のこうご司法書士事務所の司法書士の向後です。
 東京都の多摩地域を中心に、相続手続全般、成年後見等の業務を中心に、地域密着で司法書士業務を行っています。

 司法書士試験は、毎年、7月の第一日曜日に行われます。
 今年も試験の時期になり、受験生の皆さんは、非常に大変な時期かと思います。
 司法書士試験の受験生はここ数年毎年減り続けているようですが、それでもまだ16000人以上の方が出願されているようです。


 最近は、後見をやりたくて司法書士になるという方も増えてきているようです。
 今回は、そうした、これから司法書士になりたいと考えている方を意識しつつ、業務として考えた場合の「後見」について、私見を書いてみたいと思います。

 司法書士になりたい方が増えることや後見業務をやりたい方が増えることは非常にうれしいのですが、一方で、後見制度が曲がり角に来ていることをわかったうえで、「後見がやりたい」と思っているのか、ちょっと気になるところです。

 現在、業務として法定後見について考えた場合、法定後見が安定した業務として今後も存在し続けるかどうか非常に微妙であると言わざるを得ないと思うのです。
 少なくとも、司法書士に登録し、リーガルサポートという組織に入り、地道に活動していれば、営業努力をしなくても案件がもらえるというような時代は終わった(もしくは、終わりに近づいている)と思います。
 私は、おそらく、そうした恩恵を受けられた最後の世代であり、他の分野ではともかく、後見分野においては、広告宣伝等をあまりしなくても、経験を積むに十分な業務経験ができて、本当によかったと思っています。

 現在、後見(主に法定後見)は、大きな変革期を迎えています。

・後見制度利用促進基本計画の推進と中核機関の設置 
・基本報酬の見直し
・「専門職後見人からから親族後見人へ」の流れ
・法定後見から任意後見・民事信託(家族信託)等への流れ

 主なものをあげると、以上のような流れが、ある流れは目に見える形で、ある流れは伏流水のように目に見えない形で、確実に動き始めているのを感じます。

 この流れには、問題をはらんでいるものだけでなく、望ましい流れといえるものもありますが、おそらく、どの流れについても、「専門職にとっての安定な収入源としての法定後見」という観点からみると、いずれもマイナスに働くように思います。
 あるいは、特定の団体に所属していたり、特定の資格を保持していれば、何もしなくても充分な数の案件が獲得できるというようなことは、今後なくなるであろうと思われます。

 ただ、逆に言うと、特にこれからこの世界に入ってくる皆さんにとって、チャンスとも言えると思うのです。
 これからは、これまでのポジションに関係なく、努力次第でいかようにもなっていく時代になるはずだからです。
 ベテランであっても、この変化を感じ、柔軟に対応していけなければ窮地に陥るだろうし、そうしたベテランが窮地に陥ることは、これから入ってくる皆さんにとっては、マイナスではない(よい言い方かは別として、ベテランがコケた部分を新規参入者が取りに行ける)と思うのです。

 しかし、こうした状況は、新たに入ってくる皆さんよりも、現在、専門職三者(弁護士、社会福祉士、司法書士)によって占められているといってよい法定後見制度を忸怩たる思いで見ており、かつ、経験も豊富な、他士業の方々にとって、この上ないチャンスといえる状況だと思います。

 その意味で、「チャンスが万人に広がるが、一方で、淘汰される人も出てくる」というのが、現在の後見分野を業務としてみた場合の偽らざる現状なのではないかと思います。
 私も、相当の覚悟を持って、淘汰されないように頑張っていきたいと思うし、今現在司法書士を目指している方々に対しても、現在おかれている状況は非常に厳しいが(今回は後見のお話をしましたが、登記等の分野でも厳しい流れがいくつもあります)、その事実を認識し、かつ、覚悟をもって取り組めば、非常に魅力的で面白い世界なのではないかなと思います。


 私は、今後は、法定後見から任意後見や民事信託へという流れがどんどん広がっていき、一方で、任意後見や民事信託を利用できなかったり、利用しなかった人についてのセーフティネットとして法定後見の存在が増していく、という展開を予想しています。
 それに、報酬の見直し等も行われれば、法定後見は、ビジネスとしての要素が薄まり、半面、ボランティア的要素が強まってくるのではないかと思っています。

 本当にそうなるかはわかりませんが、仮にそうなったとしても、法定後見の重要性は変わらないと思います。
 それを必要な方々がいらっしゃるし、任意後見や民事信託中心の世界から零れ落ちてしまった方のためのセーフティネットとしての法定後見という捉え方をした場合、必要性の度合いが現在の法定後見よりも増す(より、弱者のための制度という意味合いが強まる)と考えられるからです。
 業務としての法定後見の価値が弱まったとしても、ボランティア的側面や専門職の社会貢献的側面は逆に強まっていくと思います。

 また、専門職の業務という側面から見た場合でも、仮に、任意後見や民事信託中心の世界になったとしても、法定後見の重要性は失われないと思います。
 私の個人的な思いかもしれませんが、任意後見、民事信託、財産管理の基本は法定後見にあり、法定後見から経験できること、学べることはとても多く、法定後見でいろいろ経験したり、苦しい思いをしたりすることは、任意後見や民事信託を行う上でも、きっとプラスになると思うのです。

 今後、環境が厳しくなっていくことは避けられないかもしれませんし、法定後見のみを業務とすることも不可能だと思いますが(現状でも、法定後見だけしかしていない方はそんなにはいないはず)、過大な期待をしなければ、まだまだ法定後見分野は業務的にも魅力的な分野であるというのが、今現在の私の結論となります。
 
[ 2019/07/03 16:12 ] 後見 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

こうご司法書士事務所

Author:こうご司法書士事務所
相続・後見・登記・債務整理など、調布、三鷹、武蔵野を中心に、多摩地区、東京近郊、そして全国からのご依頼お問い合わせをお待ちしております。

事務所概要
こうご司法書士事務所
司法書士 向後弘之
東京都調布市深大寺北町2-29-11
      グランパルクノース102
TEL042-444-7960
FAX042-444-7986
HP こうご司法書士事務所
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